アクリル製品の製造プロセスと環境保護への影響

2025.01.24
アクリル製品の製造プロセスと環境保護への影響

こんにちは!アクリルの仙人編集部です!


今回は、アクリル製品の製造プロセス、そして環境保護への影響についてご紹介します。

安価かつ丈夫で、購入や制作をする機会も多いアクリル製品。

国や企業レベルだけでなく、個人でもSDGsな活動が注目されている昨今。

今後も地球や環境に優しく、グッズ制作や推し活を続けていきたいですよね。そのためには、アクリル製品をただ使うだけではなく、その製造プロセスや環境に及ぼす影響を知っていきましょう!


ぜひグッズ制作や購入に当たって、アクリル素材のエコ観点にも目を向けてみてください!

アクリル素材って何?

まずは、アクリル製品に使われている素材がどんな素材か?についてご説明します。

アクリル(ポリメタクリル酸メチル、PMMA)は、プラスチックの一種です。石油から取れる「アクリロニトリル」を原料とした、合成繊維です。 ​​しばしば「アクリル樹脂」とも呼ばれます。

アクリルは「プラスチックのガラス」とも称され、ガラスに匹敵する透明度があります。さらに、軽量で耐久性が高いことから、看板、ディスプレイ、日用品、各種グッズなどに広く使用されています。

アクリルの歴史は、1930年代にまで遡ります。ドイツで初めて商業生産が開始されました。その後第二次世界大戦中には、航空機の風防や潜水艦のペリスコープなど、その軽さと強度が求められる分野で多用されました。戦後、アクリルの製造技術がさらに進化したことで、現在では日常生活のさまざまな場面で目にすることができるようになりました。

 

アクリル製品の製造プロセスは?

それでは次に、アクリル製品がどのようなプロセスをたどって作られていくのかをご紹介します。

①原材料を調達し、樹脂を生成する

アクリル製品の製造は、主に石油から得られる化学物質を原料としています。プロピレンとベンゼンを原料とし、アセトンとメタノールの反応で、メタクリル酸メチル(MMA)という基本的なモノマーを生成します。このMMAが、アクリル樹脂の基礎となります。

※モノマー:プラスチックを構成する最小の単位)​

次に、MMAモノマーを重合させてアクリル樹脂(PMMA)を形成します。重合反応には、複数の方法があります。一般的なのはバルク重合で、モノマーに開始剤を加えて重合反応を促進し、透明なアクリルブロックを形成します。このプロセスでは、熱と圧力を制御して、均質で透明度の高いアクリル樹脂を生成します。

※その他の重合反応:バルク重合、懸濁重合、エマルジョン重合など

 

②アクリル樹脂の成形・加工

生成されたアクリル樹脂を、さまざまな形状やサイズに成形します。成形方法は複数ありますが、一般的なものを以下で紹介します。

・押出成形:加熱されたアクリルをダイを通して押し出し、シートやプレート状に成形します。均一な厚みを持つシートを大量生産するのに適しています。

※ダイ:「ダイス」とも呼ばれます。押出時に使う金型。この形状で、製品の形が決まります。

​・射出成形:溶かしたアクリルを金型に注入し、冷却して固化させます。小型で複雑な形状の部品や、細部にこだわった製品によく使用されます。

・キャスティング(鋳造):液体状のアクリルを型に注ぎ、自然冷却や加熱して固化させる方法です。特殊な形状や、高い透明度が要求される製品に使用されます。

③製品の仕上げと検査

成形されたアクリル製品に、必要に応じて切削、研磨、ドリル加工などの二次加工を行います。研磨は、表面の光沢を高め、切断面を滑らかに整えることで、美しい仕上がりを実現します。

完成した製品は、最後に品質検査を行います。傷や気泡、ひずみ等がないかを確認されます。高品質な製品を作るために、厳しい検査基準が適用されます。

 

アクリル製品の環境への影響は?

それでは、そんなアクリル製品は環境にどんな影響があるのでしょうか。

資源の消費

アクリルの製造には、石油を原料とする化学物質が欠かせません。石油の採掘や、精製過程で大量のエネルギーと水が消費されます。石油資源は有限であり、環境負荷の観点からも持続可能な利用が求められています。

製造プロセスで環境に負荷がかかる

アクリルの製造プロセス自体も、環境に悪い影響を与える要素があります。

例えば、重合反応や成形の過程では、高温や圧力が必要です。エネルギー消費は、二酸化炭素(CO2)や他の温室効果ガスの排出につながり、地球温暖化を助長する要因となります。アクリル製品の需要が高まるほど、石油資源の消費量も増加し、環境への負荷が増します。

また、製造過程で発生する廃棄物や副産物も、適切に処理されなければ環境汚染の原因となります。特に、化学薬品の不適切な廃棄は、土壌や水質汚染を引き起こす可能性があります。

製品の廃棄物問題

アクリル製品は耐久性が高いため、長期間にわたって使用が可能ですが、最終的には廃棄されることになります。

2020年からのコロナ禍では感染防止のためアクリル板の需要が高まり、大量に生産・各地に設置されました。ですが2023年の新型コロナの5類への移行を受け、多くのアクリル板が役目を終えて不要になっています。

また「推し活」が流行し、大量のアクリルスタンド・アクリルキーホルダー等のアクリル製品が販売・購入されています。しかし「推し」が変わったり、収納スペースが足りなくなったりすると、それらのグッズが多く廃棄されることも課題となっています。

アクリルは自然分解しにくいため、廃棄されたアクリル製品が埋立地に埋められると、長期にわたり環境に残留します。さらに、適切にリサイクルされない場合、海洋プラスチックごみとして海に流出し、海洋生物や生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

このように、アクリル製品は環境への様々な悪影響もあります。特に、前述したアクリル板の廃棄や、「推し活」でのアクリル製品の販売により、近年アクリル製品の需要が高まっています。こういった時代の流れの中で資源の消費量も増加し、環境への負荷・廃棄問題への解決が急がれます。

 

環境負荷を軽減するための取り組み

アクリル製品は環境への影響も大きいため、環境負荷を軽減する取り組みが必要だとわかりました。それでは実際にどのような取り組みができるのかをご紹介します。

リサイクル技術の向上

アクリル製品のリサイクルは、環境負荷を軽減するために非常に重要な手段です。リサイクル技術は年々向上しているため、廃棄されるアクリル製品の量を減らし、資源の有効活用を促進することが可能です。リサイクルには様々な方法がありますが、以下で一般的な方法をご紹介します。

・機械的リサイクル:使用済みのアクリル製品を粉砕し、新たな製品の原料として再利用します。比較的シンプルなプロセスで、コストも低いですが、リサイクルされたアクリルの透明度や品質はやや低下するというデメリットがあります。

・ケミカルリサイクル:アクリル樹脂を化学的に分解し、モノマーに戻す方法です。新品同様の品質のアクリル樹脂を再生産することが可能です。ただし、このプロセスは複雑でコストが高いため、広く普及させることは難しいです。

持続可能な材料の開発

石油に依存しない、持続可能な原材料を使用したアクリルの開発も進められています。例えば、バイオベースのモノマーを使用したアクリル樹脂は、再生可能な植物資源から生成されています。そのため、石油資源の消費を抑えることができます。また、製造プロセスにおいても、エネルギー消費を抑えた新しい方法や技術が研究されています。

リデュース、リユース、リサイクル(3R)の推進

環境負荷を軽減するために、アクリル製品においても3R(リデュース、リユース、リサイクル)の概念が重要です。

消費者にもできることは沢山あります。例えば、使い捨て製品の購入を控え、長持ちする高品質なアクリル製品を選ぶことがリデュースにつながります。また、商品を廃棄する前に他の人や企業に譲渡して、リユースを促進する取り組みも重要です。また、製造時にリサイクル可能な製品デザインや、リサイクルに適した材料の選定を行うことも大切です。

消費者への啓発と意識向上

環境に配慮したアクリル製品の利用を促進するためには、消費者の意識向上が欠かせません。持続可能な社会の実現に向けて、消費者が製品の製造過程や環境影響について理解すること、環境に優しい製品を選択することが大切です。事例をいくつか紹介します。

・エコラベルや認証:環境に配慮した製品に、エコラベルや認証を付与します。認証することで、消費者が環境に優しい選択を行いやすくなります。環境に配慮した製品が市場で認知され、広がっていくことに繋がります。

・教育プログラムやキャンペーン:消費者の環境意識を高め、アクリル製品の製造過程や、リサイクル・適切な処理の方法を学ぶことが重要です。企業や政府・環境団体が消費者向けの教育プログラムやワークショップ、啓発キャンペーンを実施することで、意識を高めることができます。

ひかりてらすでも様々な活動を実施しています

弊社ひかりてらすは、アクリルグッズ等再生利用促進協議にて、事務局を務めています。この団体は、アクリル製品のリサイクルを推進し、SDGsゴールの1つである”つくる責任・つかう責任”を達成することを目的に活動しています。

イベントでのアクリルグッズの回収や、SDGsに関するトークショーの実施、使用済みアクリル板を使ったワークショップなども実施しています。

また、アクリルの仙人でも環境に関連する様々な記事を更新しています。アクリル素材や製品の環境問題について、もっと知りたくなった方はぜひ合わせて以下の記事もご覧ください!

・アクリルグッズ等再生利用促進協議会とは?持続可能な社会の実現に向けて

アクリルスタンドのリユース&リサイクル|大ブームの「推し活」で避けて通れない問題

・アクリル素材のエコフレンドリーなリサイクル方法

今後も環境やリサイクルに関する様々な記事、活動レポートを公開予定ですのでお楽しみに。

アクリルの仙人ご紹介

そんな弊社ひかりてらすが運営しているアクリルグッズの制作サービス「アクリルの仙人」では、アクリルグッズの制作が可能です。

本サービスでは、大量に生産しなくとも、1個からのグッズ制作も可能です!

さらに、スマートデザインを活用 することで、画像アップロードのみで簡単にグッズ制作が可能です。

 

なお、単価は以下個数帯で変化します。

・1〜30個

・31〜100個

・101〜300個

・301個〜1000個

1001個以上の大量注文も可能です!大量注文の場合は、専用フォームよりご連絡ください。お見積り等をお出しいたします。

 

また、注文方法がわからない・注文を悩んでいるが質問をしたい、という場合も、お気軽に

専用フォームよりご連絡ください。

 

詳細はぜひ、アクリルの仙人公式サイトをご確認ください!



最後に

今回は、アアクリル製品の製造プロセスと環境保護への影響についてご紹介しました。

アクリルキーホルダーやアクリルスタンドから、アクリル板など、皆さまの周りにも多く存在するアクリル製品。丈夫で扱いやすく、種類も豊富なアクリル製品はとても便利でつい集めてしまいすよね。

環境に配慮しながら、今後もアクリル製品を楽しく使い続けられる社会であるために、ぜひその製造プロセスや環境への影響・取り組みについても目を向けてくだされば幸いです!

 

それでは今回の記事はここまでとなります。

次回の記事もお楽しみに!!!

 

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